俺様社長に甘く奪われました

 怪我をさせてしまったら大変だ。
 軍手をはめた手で望月を制したものの「ふたりでやったほうが早い」と、彼は止める気配がない。莉々子は仕方なしに「ありがとうございます」とお願いすることにした。

 あの夜のあとだけになんとも気まずい。莉々子は早いところ片づけて退散したいと願うばかり。分厚い軍手をはめた手で大きな破片を拾っていく。


「上田さんは?」


 望月は、莉々子がひとりきりで社長室にいることを不審にでも思ったのかもしれない。


「上田さんから蛍光灯が切れていると連絡をいただいたのですが、用事があるらしく私ひとりで作業をしていました。勝手に入って申し訳ありません」
「それはかまわないが……」
「中国へ行ってらしたんですよね?」


 莉々子にとって都合の悪い話になるのを恐れ、別の話題を振る。


「ああ。たった今帰ってきたところだ」
「そうですか……」


 せっかく振った話題も、すぐに尻つぼみになる。次はなにを話そうかと考えているうちに、フロアは綺麗になった。

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