俺様社長に甘く奪われました
さっさと作業を済ませて退散しよう。今度こそは手を滑らせないようにと莉々子が慎重に蛍光灯を持ったところで、望月が「俺がやるよ」とひょいと取り上げる。
「えっ……」
莉々子が戸惑っているうちに、望月は手際よく蛍光灯の設置を完了させてしまった。
「すみません。ありがとうございました……」
軍手を外して頭を下げる。そこでふと、赤いものが莉々子の視界の隅を横切った。
血だ。望月の指先に血が滲んでいたのだ。割れた蛍光灯を拾ってくれていたときに切ってしまったのだろう。
「社長、血が……」
彼の手を指差すと、「あぁ、こんなの大したことないだろ」と望月が即座に手を引っ込める。
「そのままにしてはダメです。ちょっとここでお待ちください」
身を翻し総務部へ。莉々子が絆創膏を持参して戻ると、望月はティッシュペーパーで指先を押さえていた。