俺様社長に甘く奪われました
「今年の桜も今夜で見納めだな。これが見たくて急いだのか」
「はい。大好きな景色なんです」
咲き誇っている姿よりも、儚く散っていく姿。これを見られるのは、また一年後だ。
そうして時間を忘れて眺めていると、莉々子の視界がふっと遮られた。次の瞬間、彼女の唇には柔らかい感触。莉々子がキスされたのだと気づいたのは、その唇が離れて望月が優しく笑ったときだった。
「なっ……!」
突然のキスとその笑顔にドキッとしつつ一歩飛びのく。
「莉々子、俺と恋をしないか」
少なくとも冗談を言っているような顔ではなかった。
真っすぐに注がれる眼差しに、不覚にも莉々子の胸が高鳴る。
「……私、もう恋はしないって……。それにお金持ちのイケメンは苦手なんです」
「それはそれ。これはこれだ。莉々子の過去と俺との恋愛は別物だと考えてくれ」
「でも……」
莉々子が反論したそばから強く引き寄せられ、もう一度唇が塞がれる。避ける隙もないキスは、ひと際強い一陣の風に吹きつけられるまで続いたのだった。