クールな部長は溺甘旦那様!?
「いえいえ! 違いますよ! ただ綺麗だなって」

「残念だが、今回君の着るドレスはこれじゃない」

「言われなくてもわかってますって!」

剣持部長がムキになる私を見てクスリと笑った。本当はすごく着てみたい、という心の中を覗かれたようで恥ずかしくなってくる。

もう、剣持部長といるとなんか調子狂う……。

先に店の中に入る彼の背中を睨んで、私も店内へ続いた。

その店はさほど大きな店舗ではなかったけれど、独自のコンセプトで選出されたインポートのドレスが並んでいた。店内は明るく、見栄えよく色鮮やかなドレスが輝いて見える。所々に心安らぐ観葉植物が置かれていて、鏡やガラスには指紋ひとつなく磨かれていた。

わぁ、すごい!

渋谷の雑踏から足を踏み入れた途端に空気が変わった気がして自然と気分が高揚してしまう。

「いらっしゃいませ」

店内の雰囲気にうっとりしている私に女性店員が近づいてきて、ニコリと上品に笑いかけてきた。
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