クールな部長は溺甘旦那様!?
「以前の会社でバイヤーとして仕事をしていた時に見つけた店なんだ。よく雑誌にも載ってるし、君も知っているだろう?」

当然のように言われて、実はまったく知りませんなんて言える雰囲気じゃなくなってしまった。剣持部長は押し黙る私を見て察したのか、「君は情報不足だな」と冷たく言うと、ひとりでパーティドレスの置いてあるセクションへずいずい歩いて行ってしまった。

前の会社ってアパレル? バイヤーだったなんて……だからセンスがいいのかな。

彼は自分に合うスーツの色や形をよく知っている。毎日違うスーツをそつなく着こなしていて、どれも違和感がなかった。だからバイヤーだったと言われて腑に落ちた。

「ちょっと、剣持部長ひとりで先に行かないでくださいよ」

こんな高級そうなドレスが並んだ店にひとりでいる勇気がない。足早に私が彼に歩み寄ると、そんなこともお構いなしに剣持部長が数々のドレスを前に考え込んでいる。

「君はどんな色が好きなんだ?」

「色、ですか……そうですね、ピンクとか。あ、これなんか可愛いですね」

淡いピンクでスカートのラインが綺麗なマキシロングのワンピースに目が留まり、それを手に取ってみる。
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