クールな部長は溺甘旦那様!?
「君が試着にずいぶん時間がかかっているから様子を見に来た」

そう言いながら腕を組み、私をじっと見ている。

「あの、そんなに見られると恥ずかしいんですけど……それにどうしてウェディングドレスを? 私が着るドレスはこれじゃないってさっき言ってましたよね?」

「そうは言ったが……君がウェディングドレスを着たらどうなるか、興味があった」

剣持部長はほんの少し顔を赤らめ、私と目が合うとパッと顔をそらした。

もしかして照れてる? 私がウェディングドレスを着たところは見てみたかったってこと……?

確かにウェディングドレスは憧れだ。こんな機会に試着させてもらわなければ、もしかしたら一生着ることができなかったかもしれない。青い海が見えて幸せの鐘が鳴るチャペルで結婚式するのが私の夢だった。きっともう叶うことはないのかもしれないけれど。

「おい、満足したか?」

「へ?」

剣持部長の冷めたそのひとことで、果てしなく広がりつつあった妄想が打ち砕かれる。

そうだ、今日の目的はウェディングドレスじゃなかったんだった!

「すみません、初めて着たから少し浮かれてしまいました。すぐ着替えますね」

そう言って私は試着室のカーテンを勢いよく閉めようとしたその時だった。
< 131 / 362 >

この作品をシェア

pagetop