クールな部長は溺甘旦那様!?
「君は知らないかもしれないが、あの男は業界でも女癖が悪くて有名なんだよ、だから……」

きょとんとする私になぜかイラついたように剣持部長が小さく唇を噛む。

「ったく、あいつ、こんな時に店に出てこなくても……」

剣持部長はひとりでぶつぶつなにか言っているけれど、私の方はあまりにも彼が近くて身体中の血液が今にも沸騰しそうになっていた。そして、しばらく息を潜めていると、その男性は店員と一緒にいなくなった。

「すまないな、こんなこそこそするような真似をさせて……って、君はなぜそんな顔を赤くしてるんだ?」

「なぜって……」

剣持部長のせいです! 全部! そんないい匂いさせて!

声を大にして言いたい。けれど、私が何も言えずにプルプルしていると、剣持部長がさらに顔を寄せて、私の額に手を当てた。
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