クールな部長は溺甘旦那様!?
「俺は、万が一君が邪魔になったところで失敗などしない」

聞きようによっては心無いセリフにも思えたけれど、それは自信を失っている私の心を揺さぶった。

「剣持部長って、自信家なんですね」

「別に、本当のことを言ったまでだ。俺のキャリアをなめるなよ?」

剣持部長が不敵に笑うと、私も自然と笑みがこぼれた。すると。

「あ……」

不意に彼が前のめりになったかと思うと、私を包み込むようにふわっと抱きしめた。

「剣持部長? あ、あの……」

「俺たちは夫婦なんだ、こういうことするのは自然だろう?」

剣持部長の言う“こういうこと”とは、どこまでのことを言っているのだろう。そう思っていると、彼の手がそっと背中のファスナーに伸びてきて、私は彼の意図を悟った。

ぐっと距離を狭める彼の口から短い吐息がこぼれて、私の耳を掠めるとビクッと身体がしなった。

「大丈夫だ。君を二度と辛い目に遭わせたりしないから」

互いの視線が絡み合い、それを合図に唇を寄せる。やんわりと重なった唇から剣持部長のぬくもりがじんわりと広がった。
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