クールな部長は溺甘旦那様!?
「あぁ、起きたか」

その低い声に顔をあげると、コーヒーカップを片手に持った剣持部長が優雅に歩き近づいてくる。

「な、なんで剣持部長がここに? それに私、なんでこんな格好――」

なにがなんだかわからない。昨夜は剣持部長の歓迎会だった。結局、彼は来なくて、でも支払いだけはしてもらっちゃって……。

「昨夜の記憶がないなんて、君は相当酔っ払ってたんだな」

やれやれと首を振りながら、剣持部長はベッドサイドにある小さな椅子に腰掛ける。

酔っ払ってた? 私が? でも、確かに酔ってたかもしれない。おっしゃるとおり、かなり……。

「一応店に行ってはみたが、二時間制でもう終わりだと言われて、だったら顔を見せることもないと思って帰ったんだ。それに、元々そういう飲み会は好きじゃない」

剣持部長はきっとみんなと騒いで飲んだりするのが嫌いなタイプなのだ。なんとなく雰囲気でわかる。みんなと距離を保とうとするくせに、労うとかなんとか言って支払いをしてくれる小さな気遣いが矛盾している。
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