メーデー、メーデー、メーデー。

 「いくら娘と言えども、私の診断を侮辱するのは赦さないわよ。あなたは心も身体も病気なの!! 入院して治療が必要なの!! 着替えは明日持ってくる。この子が暴れるようならグローブはめてベッドに括り付けてちょうだい」

 オレらにそう言うと、木南先生のお母さんは病室を出て行こうとした。

 「嫌だって言っているじゃない!! どうして?! 何でよ…。もういいじゃない。私、頑張ったじゃない。…蓮に会いに行きたいの」

 木南先生は、母親の背中に向かって大声を出した後、崩れる様に床にへたり込み、目から涙を零した。

 「あなたなら分かるでしょう? 子どもを失う親の苦しみが」

 振り向いた木南先生のお母さんの目にも涙が溜まっていた。

 「…分かるよ。分かってよ、お母さん。私もう、耐えられない」

 木南先生の涙が、ポタポタと床に落ちた。
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