メーデー、メーデー、メーデー。

 「…私が変わってしまったと言うのなら、きっとたった今、こんな医者になってしまったんだと思います。私は、木南先生の意思を弾いてでも、木南先生の命を助けたい」

 早瀬先生が、木南先生に言い聞かせるように、木南先生の傍に跪いた。

 「…あなたは、本当に残酷な人ね」

 そう吐き捨てる様に零すと、木南先生がよろめきながら立ち上がった。

 そんな木南先生を支えようと、早瀬先生が木南先生の肩を掴むと、

 「…触らないで」

 木南先生は、自分の肩に乗せられた早瀬先生の手を退け、フラフラになりながら自力でベッドに戻った。

 早瀬先生は、木南先生に払われやり場をなくした手を握り締めると、

 「柴田くん、さっき言ったものを持ってきてください」

 動けずにいたオレに再度催促をした。
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