メーデー、メーデー、メーデー。
「すみません。すぐに持ってきます」
木南先生の病室を出て、ナースステーションに向かい、看護師さんに睡眠導入剤とグローブを用意してもらうと、急いで木南先生の病室へ引き返した。
木南先生の病室のドアを開けると、早瀬先生と早瀬先生に背を向けてベッドに横たわる木南先生の姿があった。
「お待たせしました。…あの、木南先生のお母さんは?」
さっきまでいたはずの木南先生のお母さんが見当たらず、早瀬先生に尋ねる。
「木南先生の荷物を取りに、木南先生のマンションに帰えられたよ。柴田くんが戻ってきてくれたから、私は仕事に戻りますね。あとは宜しくお願いしますね」
オレの問いかけに答えると、入れ違いに病室を出て行こうとする早瀬先生。
「お忙しいのであれば、私の事など待ってくださらなくても良かったのに…」
『オレって信用ないのかな。間違った薬でも持って来そうに見えるほど頼りないのかな』と若干いじけていると、早瀬先生がオレの耳元に唇を近づけてきた。
「今の木南先生から目を離してはいけない。絶対に」
そう耳打ちした早瀬先生は、オレの肩にポンと手を置くと、病室を出て行った。