メーデー、メーデー、メーデー。
早瀬先生の言葉の意味を悟り、背中がゾクっとした。
早瀬先生が、木南先生のお母さんが帰った後も病室に残っていたのは、オレを待っていたわけではなかった。
木南先生をひとりに出来なかったんだ。
木南先生をひとりにしてしまったら、何をしでかすか分からないから。
そんな木南先生に薬を持って近づく。
「木南先生、デパス持って来ました。飲んでください」
ベッドに付属されているスライド式のテーブルの上に、薬と水の入ったコップを置く。
「……」
木南先生は枕に顔を埋めたまま、返事もしてくれない。
「木南先生、飲んでください。眠ってしまった方が楽になれます。起きていたって辛いでしょう? 逃げようにも、そんな体力なんか残っていないんでしょう?」
布団がかかった木南先生の肩を揺すると、木南先生がムクっと起き上がった。