メーデー、メーデー、メーデー。
そして、デパスを手に取り口に放り込み、水で流し込むと、すぐさま布団に潜り込む木南先生。
木南先生が被った布団をそっと剥がし、木南先生の手を取った。
「…木南先生、ごめんなさい」
薬と一緒に持ってきたグローブを木南先生の手に被せる。
木南先生から目を離すのは危険。でも、ずっと木南先生の傍にいるわけにもいかない。
諦めたのか、観念したのか、もうどうでも良くなってしまったのか。木南先生は抵抗しなかった。
木南先生の両手をグローブで拘束し、ベッドに括り付ける。
「…おやすみなさい。木南先生」
木南先生の身動きを封じることに、申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、木南先生を直視出来ずに俯いていると、
「もういいでしょ。ひとりにして」
木南先生は眠りにつこうとしているのか、目を閉じながらオレに退室を促した。
「…はい。また明日」
心の中で『木南先生ごめんなさい』と何度も言いながら病室を後にしようとした時、木南先生の閉じた瞼から涙が零れ出るのが見えた。