メーデー、メーデー、メーデー。

 早く木南先生に知らせようと、木南先生の病室へと早足で向かう。

 木南先生の病室をノックし、返事を待たずにドアを開けると、木南先生のお母さんの姿はなく、相変わらずグローブでベッドに縛り付けられている木南先生がゆっくりオレの方を見た。

 「木南先生、お母さんは?」

 「……」

 やはり木南先生はオレの質問にも答えてくれない。まぁ、木南先生のお母さんがどこにいるかどうかはそんなに気にならないので、本題へと移る事に。

 「野村さん、目を覚ましましたよ!! 『木南先生にお礼が言いたい』って言っています。左半身に麻痺が見られましたが、それ以外に目立った症状は現れていません!! 木南先生のオペのおかげですよ!!」

 『良かったですね!! 木南先生』とテンション高めに木南先生に近づくが、

 「……」

 木南先生は無言のまま、笑顔さえも見せなかった。
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