メーデー、メーデー、メーデー。

 「嬉しくないんですか? 木南先生」

 「……」

 当然の様に、木南先生はオレの問い掛けにも答えてくれない。

 何も喋ってくれない木南先生は、オレの方に向けてくれた目を虚ろにしながら、どこか遠くを見始めてしまった。

 目の奥が灰色になるとはこの事なのかという程に、木南先生の瞳からは光が消え去っていた。

 目の前にいる人は、本当にオレの尊敬する、バリバリに働いていた強気な木南先生なのか? と信じられなくなる程に、木南先生は別人の様になってしまった。

 それが、悲しくて寂しくて、物凄く嫌だった。

 「…木南先生、間違ってますよ。助かる可能性があるのに死にたいだなんて。生きたくても生きられない人がいること、木南先生は嫌っていうくらい知っているじゃないですか。そういう人に対して失礼だとは思わないんですか?!」

 変わり果ててしまった木南先生を受け入れたくなくて、元の木南先生に戻って欲しいもどかしさに、木南先生に苛立ちをぶつけてしまった。
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