メーデー、メーデー、メーデー。

 「…生きたくても生きられない人の為に、死ぬほど苦しんでいる人が生きなければならない道理って何?」

 やっと口を開いた木南先生の質問に、

 「……え」

 答えられずに言葉を詰まらせる。

 木南先生を『間違っている』と否定しておいて、木南先生の問いかけに返答出来ない浅い自分が、本当に情けない。

 しかし、それでも木南先生の考えを肯定するわけにはいかない。

 「…木南先生が死んでしまったら、悲しむ人がたくさんいます」

 質問の答えになっていない事は分かっていても、黙って引き下がるわけにもいかず、ただ自分の思いを吐き出す。

 「…もがき苦しむ人間に、周りの人の思いを推し量る心の余裕がどこにあるって言うの?」

 しかし、オレの気持ちは木南先生には響かない。

 木南先生の心はきっと、粉々に壊れてしまっているのだろう。
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