メーデー、メーデー、メーデー。
「脅すつもりはないんだけどさ、学長から呼び出されるって、結構な事案だよね、多分」
春日先生がオレの血の気を更に引かせる様な言葉を、割と軽いタッチで話す。
「脅すつもりがないなら、そういう事を言わないでくださいよ」
最悪な事態しか想定されず、吐き気さえしてくる始末。口を一文字に噤むと、胸の辺りを摩った。
「どうでもいいけど、本当に早く行ってくれにかな? オレ、今日まで柴田くんのオーベンだからさ、柴田くんがチンタラしているとオレまで怒られちゃうでしょうが。オレ、身に覚えがないんだけど、学長呼び出し案件って、オレは関係ないよね? オレは呼び出されてないわけだから」
「行きますよ行きますよ。ちょっと心の準備するくらい、いいじゃないですか。大丈夫ですよ、春日先生。春日先生には絶対に迷惑は掛からない話ですから」
春日先生に急かされて、込み上げる胃液を気力で飲み込み、意を決して椅子から立ち上がった。