メーデー、メーデー、メーデー。
「…まさかのそっちの話でしたか」
急に身体の力が抜け、膝に踏ん張りが利かず、立ち上がる事が出来ない。
「どっちの話だと思ったの?」
「いえ!! そちら側の話以外思い当たる節がございません!!」
不思議がる学長に、全力で首を左右に振る。余計な墓穴は掘ってはいけない。
「それで、ほんの気持ちばかりのお礼なんだけど…」
学長に目配せをされ、美人秘書が持って来たのは、
「…お、おぉ」
『これ、どうやって持ち帰るのよ? オレ、電車通勤ですよ?』と、心の中でツッコミを入れずにはいられない程に豪華でデカすぎる、両手いっぱいの花束と金一封だった。しかし、
「学長のお気持ちは大変有難く、光栄に思っておりますが、私が受け取るわけにはいきません。私は木南先生にお願いをしただけで、野村さんのオペをしたのは木南先生と早瀬先生です。どうか、お2人に差し上げてください」
オレは何かを貰えるほど役に立ってはいない。