メーデー、メーデー、メーデー。
「もちろん、木南先生と早瀬先生にも用意はしてあったんだけどね、木南先生は今闘病中で精神状態が良くなくそれどころではないと聞いているし、早瀬先生には『讃えるべきは、執刀医の木南先生と、木南先生を説得した柴田先生で、自分はお手伝いを少しさせてもらっただけなので』と辞退されてしまってね。だから、柴田くんまで拒否しないでよ。金一封はともかく、どうすればいいの? この花束」
学長が『遠慮はいらないよ』とオレに花束を押し付けた。
「学長。この花束、木南先生と早瀬先生にプレゼントする予定だった花も全部合体させました?」
「あ、バレた?」
学長が『ヘヘッ』と舌を出しながら後頭部を掻いた。
…やっぱりかよ。どうりでデカイと思ったよ、花束。
「…有難く頂戴致します」
なんとか立ち上がり、花束を受け取ると、
「今後の活躍も期待していますよ」
と、満足そうに学長が笑った。
「ご期待に添える様、努力致します」
学長に頭を下げ、金一封をポケットに突っ込み、花束を抱き抱えると、学長室を離れた。