メーデー、メーデー、メーデー。
「木南先生と私は、お互いに『誤解を招きやすい性格』である自覚がありました。それで、2人の間で1つだけルールを作っていたんです。『兎に角たくさん話をしよう』と」
早瀬先生が過去を懐かしむ様に、遠い目をした。
すれ違いたくなくて、勘違いを生みたくなくて、それほど口数の多い方ではない2人が、会話を重ねて繋がっていたいと願っていた。
そんな2人の会話が途切れ、すれ違い、誤解が生じてしまった。
「…じゃあ、木南先生と兎に角たくさん話をしましょうよ。それで誤解が解けても尚、木南先生が早瀬先生を避けるのなら、その時は残念ですが諦めてください。
今、チャンスじゃないですか。木南先生はベッドから動けない。『聞きたくない』と拒否したところで、逃げられない。一方的に言うべき事を全部喋ってしまえばいい。
逃げられない人間から逃げたりしないですよね、早瀬先生。
私は、やっぱり今の状態のまま、木南先生に無理矢理オペを受けさせる事に抵抗があります。納得して臨んで欲しいです。早瀬先生なら、木南先生を説得出来るはずです」
だって、木南先生と早瀬先生の間にあるのは、怨恨じゃない。ただの誤解だ。