メーデー、メーデー、メーデー。
「早瀬先生と立ち話してたんですー。木南先生、来週の月曜日にオペなんですね」
木南先生のつまらないボケを面白く返す腕など、芸人でもないオレが持っているはずもなく、至って普通に返事をしながら、今度こそ木南先生の枕の位置から見える場所に花を置いた。
「…らしいね。…ねぇ、研修医。研修医が私のオペを執刀してくれない? 私が研修医の練習台になる」
木南先生は一瞬で表情を曇らせると、悪あがきの様なお願いをして来た。
「無理です。オレ、明日から救命ローテなので、そんな時間ないです。てか、酷いですね、木南先生。オレが執刀すれば失敗するかもしれないと思っての発言ですよね。失礼すぎる」
木南先生に白い目を向けながら唇を尖らすと、
「バレたかー」
木南先生は、カラッカラに乾いた笑いを零した。