メーデー、メーデー、メーデー。
「違う!! そうじゃない!!」
早瀬先生が『どうしてこんなに拗れてしまったんだ』と頭を掻き毟った。
『お前が何も言わずに木南先生の前からいなくなったからだろうが!!』と心の中で突っ込みながらも、『ちゃんと木南先生に全部話せ!! 逃げるな!! 頑張れ早瀬先生!!』とドアを挟んだ廊下から念を送り、応援する。
「…確かに、死んだ彼女が生きていたら、木南先生と結婚していなかったかもしれません。でもそれは、彼女が生きていたら木南先生に出会うはずがなかったからです。私が医者を目指したのは、死んだ彼女と同じ病気で命を落とす人間がいなくなればいいと思ったからです。彼女がいなくなってしまうまで、医者になりたいと思った事さえありませんでしたから」
オレの念力が届いたのか、早瀬先生は怯む事なく木南先生に反論した。
「高校時代に私とも出会っていたとしたら?」
が、木南先生の追及は続く。
普段、男勝りな木南先生が、普通の女の子みたいな可愛い質問をするから、『何だかんだ、やっぱり女子なんだよな、木南先生も』と、ちょっと微笑ましくなった。