メーデー、メーデー、メーデー。

 「何をしているんですか? 柴田先生」

 背後から声を掛けられ、『静かにして!! 今、いいところなの!!』とばかりに、口の前に人差し指を当てながら振り向く。

 「…あ。桃井さん」

 そこにいたのは、病室の中の様子を知られたくない人物だった。

 「…桃井さんこそ、何故外科病棟に?」

 この状況を上手く切り抜ける方法が浮かばず、質問に質問を返しながら時間稼ぎを試みる。どうにかして、桃井さんをこの場から遠ざけなければ…。

 「今度外科から受け入れる患者さんの事で、早瀬先生にご相談したい事があって…。柴田先生、早瀬先生を見掛けませんでしたか? 探しているんですけど、どこにもいらっしゃらないんです」

 質問を質問で返すなどという卑怯な真似をした罰が当たったのか。桃井さんに、最早嘘を吐くしかない問い掛けをされてしまうハメに。
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