メーデー、メーデー、メーデー。

 「…何だよ。元サヤかよ」

 桃井さんが、鼻を啜りながらオレに背を向けて歩き出した。

 辛い思いをしている大事な人を、独りにしてはいけない事を、早瀬先生の大失敗を見て思い知ったオレには、桃井さんの後を追い掛けるという選択肢しかない。

 がしかし、追ってきたは良いが、何て声を掛ければ良いのか分からず、

 「…思わせぶりですよね、早瀬先生。桃井さんとあんなに仲良くしておいて…」

 何故か早瀬先生の悪口を言ってしまった。

 「そんなんじゃないですよ。早瀬先生には『妹のようにしか思えない』って、とっくに振られていますから、私。それなのに諦められなくて、私が一方的に付き纏っていただけです。早瀬先生がフリーなら、まだチャンスはあるんじゃないかって。しつこいですよね、私。
 それに私、矛盾しているんですよ。早瀬先生のどこが好きかと聞かれたら、『一途なところ』なんです。私の両親は、父親の浮気で離婚をしています。だから、男の人が1人の女性を愛し続ける事は不可能だと思っていました。でも、早瀬先生は違った。結婚した後も離婚をしても、ずっと木南先生一筋で。そんな早瀬先生だから、好きになってしまいました。不毛ですよね」

 泣くまいと天井を見上げながら話す桃井さん。
 
桃井さんが早瀬先生を好きになった理由を聞いて、『あぁ。この子はオレが守りたい』と思った。
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