メーデー、メーデー、メーデー。
「柴田先生、早く!!」
受話器の向こうで看護師さんがオレを急かす。
「何やっているの、研修医。この電話、ナースからでしょ? アンタの事を呼んでいるんじゃないの?」
そして、こちら側では木南先生がオレを急がせる。
分かっている。オレが行くしかない。だけど…。
「…春日先生が担当しているラブドイド髄膜腫の患者さんなんです。でも、春日先生はオペに入っていて…。オレ、まだ処置に自信がありません。もしオレのせいで患者さんに何かあったら…」
カタカタカタと膝が震えた。
「患者さんを診てもいないうちに何をごちゃごちゃ言っているの?! さっさと行け!! 分からないなら分からないなりに、自分の出来る事をしながら春日先生の手が開くまで繋ぐの!! オペ室にも電話はあるんだから、いざとなったら春日先生の指示も仰げる。大丈夫!! それに私、もう少しここでダラダラする予定だから、医局に電話してくれれば私も協力出来る。手はいくらでもある!! 早く患者さんを助けに行け!!」
木南先生がオレの背中をパシンと強く叩いた。