メーデー、メーデー、メーデー。
「私だって許せない。そうしてやりたい。だけど私が犯罪者になってしまったら、あなたを支えられないじゃない」
娘の憤りをどうしてあげる事も出来ない藤岡さんのお母さんもまた、同じ憎しみのやり場がなく、悔し涙を滲ませた。
「…誰かの支えがないと生きていけないなんて…。もういいよ。私、生きなくていいよ。私の命の価値を誰がどう思っていても関係ない。ねぇ、お母さん。ねぇ、先生。私の事、殺してよ。身体がいう事利かなくて、自分で死ぬ事さえ出来ないの。もう嫌なの。生きていたくないの。お願い、殺して。お願いだから…」
さっきまで周囲の人間を睨みつけていた藤岡さんの目が、絶望を口にした途端に生気を失った。
生きる希望を失くした患者さんに、医者は何を言えば良いのだろう。
色々思考を巡らせても、答え出てくる気配がない。