メーデー、メーデー、メーデー。

 「あの、早瀬先生!! お、お疲れ様です!!」

 そんな早瀬先生の足を、桃井さんが名残惜しそうに、間違ってはいないが流れ的におかしな挨拶を無理矢理挟んで止めた。

 「お疲れ様です、桃井さん。お仕事頑張ってくださいね」

 桃井さんに若干戸惑いながらも、優しい早瀬先生は笑顔で返事をした。

 「はい!! 早瀬先生も」

 頬を赤らめて頷く桃井さんに微笑み返すと、早瀬先生は今度こそ外科に戻って行った。

 早瀬先生の後姿を暫く見つめる桃井さん。

 『見てればすぐ分かるから』

 木南先生の言葉を思い出す。

 確かに見ていたらすぐに分かった。桃井さんは分かり易過ぎる。

 桃井さんの好きな人は、早瀬先生だ。

 そりゃあ、木南先生が面白がって笑うはずだ。

 オレが早瀬先生に勝っているところなど、1つも見つからない。
< 45 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop