ただいま冷徹上司を調・教・中!
どうして私はいつも素直になれないのだろう。

相手に合わせて自分を偽って。

本当の自分を見せることに怯えてしまっていた。

平嶋課長の内面を知って、私自身も今までになく感情を曝け出したものの、結局はどうすることもできずに逃げた。

その結果がこれなんて笑えない。

せっかく平嶋課長への気持ちを自覚できたばかりなのだ。

今からこの関係を進展させていこうとしていた矢先に、こんなことで躓いてなんていられないのだ。

私が今、一番にしなければならないことは、部屋に閉じこもってウジウジすることじゃない。

今動かなければ、私は絶対に後悔することになる。

平嶋課長以上の男性は、この先きっと巡り合えない気がするから。

そう思うといてもたってもいられなくなって、バッグをひったくるとヒールを履いて部屋を飛び出した。

せっかく手入れした肌も、会社帰りに平嶋課長とのデートを想像しながら買った服も。

平嶋課長に見てもらえなければ意味がないんだ。

駅に向かって駆けだしたとき。

車のクラクションが私の足を止めた。

私を呼び止めたわけではないかもしれない。

けれど私は思わず反対車線を探してしまった。

そして見つけた。

「平嶋課長……」

そう、今まさに会いに行こうとしていた平嶋課長、その人を。
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