ただいま冷徹上司を調・教・中!
こんなに面倒くさい私に会いたいと言ってくれるだなんて。

わざわざ本当に会いに来てくれるだなんて。

この人は本当に平嶋課長なのだろうか。

今までのことを考えると、一体何が本当なのかわからなくなる。

職場で見ている平嶋課長とあまりにもかけ離れすぎて、今のこの現実が信じられない。

「久瀬、もしかして出かける予定だったのか?もしそうなら送っていくぞ?」

せっかく来てくれたというのに、彼はまた私を先してくれる。

「違いますっ。本当は平嶋課長のお宅に伺おうと思っていたんです」

「俺の家に?なんでまた?」

「……どうしても謝りたくて」

言いづらくて小声になってしまった私を呆気にとられたかのように見つめ、ふっと脱力するように平嶋課長は微笑んだ。

「やっぱり来てよかった」

「…………」

ちょっと……本当にやめてほしい。

この人のこんな表情は、本当に心臓に悪い。

「平嶋課長」

「なんだ?」

「部屋で……話しませんか?」

女から部屋に誘うなんてがっつき過ぎだろうか?

もしかしたら引かれちゃう?

そう心配したのも束の間。

「俺も久瀬と話したいと思ってた。向かいのパーキングに車止めてくるから待ってて」

「はい……」

車に乗り込みパーキングに止めてこちらに戻ってくるまで、私は一瞬たりとも平嶋課長から目が離せなかった。
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