ただいま冷徹上司を調・教・中!
「あのですね……」

頭の中ではまだ、なんと言えばいいのか整理されていない。

それでも平嶋課長なら私の言いたいことを理解してくれるんじゃないか。

何故だかわからないけど、そんな確信が私にはあった。

「私が元カレから何度も電話やメールでヨリを戻そうって言われてたのに、平嶋課長は何も感じなかったですか?」

「……それを俺に報告したか?」

冷静にそう問われて、私は自分の行動を振り返る。

「……してませんでしたかね?」

「してないだろうな。俺は一度報告されれば覚えてる」

……確かに平嶋課長はどんな些細なことであっても、報告すればきっちりと解決してくれる人だ。

そして私には、この件に関して平嶋課長に報告した記憶が……ない。

ごめんなさい、と言いかけて、私はグッと口を噤んだ。

謝るのはまだ早い。

ここからが本題だ。

「会議室で私が吉澤さんにされてたこと、その目で見ましたよね?」

「……ああ」

テーブルに押し倒されて、危うく襲われそうになった。

あの時の感触を思い出すと、今でも身の毛がよだつ。

「随分と冷静に対処してくださいましたけど、なんの感情も湧きませんでしたか?挙句に彼に私を無理に諦める必要はないだなんて言っちゃって。心が広いにも程がありません?」

私はあの時、期待したんだ。

『俺の恋人に二度と手を出すな』と言ってくれる平嶋課長を。
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