ただいま冷徹上司を調・教・中!
そりゃ、欲を言えば、『聞くより悟れよ』と思わなくもないが。

それでも進まないより進んだ方がいいに決まってる。

「そんなに深く考え込まないでください。疑似恋愛って言ったって、恋愛しないことには意味がないんですから」

「そもそも疑似恋愛だってどうしていいのか考えるぞ」

確かに本当の恋愛も上手くいかない人が、疑似恋愛になったからといって急に上手くいくとは思えない。

「だから練習するんじゃないですか。平嶋課長だって本とは違うリアルが知りたいんでしょ?」

本当は深く考えて欲しい。

ちゃんと平嶋課長と向き合って恋愛したい。

この気持ちを平嶋課長に伝えたいけれど。

そうしてしまったら、本物になる前に終わってしまうから。

今はこの関係にかこつけて、思いっきり恋愛してやる。

「そうだな。もう考えない。ちゃんと久瀬を見ていくよ」

平嶋課長が綺麗に笑えば、私の胸もドキドキと大きな音を立てる。

やっぱ……好きだなぁ。

しみじみそう思ってしまうあたり、完全に抜け出せないところまでハマりこんでしまってるなと感じる。

「とは言っても、仕事の時は今まで通りでいいよな?仕事にプライベートは混同したくない」

平嶋課長らしい硬い考えに溜め息が漏れそうになったが。

……はい、チャンス到来。

この上なく最高な案が浮かんで、私は思わず頬を緩めた。
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