ただいま冷徹上司を調・教・中!
『触らないでよ』
ちょっと前の私ならば、ひとことそう言って梨央の手を振り払っていただろう。
けれど今の私は違う。
顔も見たくないほど嫌いなことに変わりはないけれど、以前のように露骨に態度に出すのはやめたんだ。
これも平嶋課長のおかげだ。
平嶋課長は私に心のゆとりもくれた。
だから許すことはできなくても、取り繕いながらでも普通にすることができるようになったのだ。
「悪いけど私、急いでるの」
笑顔で返すまでは人間ができていないけれど、普通にそう返した私に一番驚いているのは梨央のようだ。
狐につままれたかのような、なんとも言えない顔をしている。
「じゃ」
今のうちだと言わんばかりに、その場をそそくさと去ろうとすると。
「平嶋課長とデートでしょ?」
梨央がにっこり笑ってそう聞いてきた。
「……私の予定をいちいち報告する義務はないでしょ」
詮索されたくもないし、関わって欲しくもない。
視線も合わさず人波を見つめている私に、「確かにそうなんだけど」と梨央は移動して私の視界に入ってきた。
「私、平嶋課長と同じ車両に乗ってたのよ」
思いがけない梨央の言葉に、私はとうとう梨央を真正面に捉えてしまった。
ちょっと前の私ならば、ひとことそう言って梨央の手を振り払っていただろう。
けれど今の私は違う。
顔も見たくないほど嫌いなことに変わりはないけれど、以前のように露骨に態度に出すのはやめたんだ。
これも平嶋課長のおかげだ。
平嶋課長は私に心のゆとりもくれた。
だから許すことはできなくても、取り繕いながらでも普通にすることができるようになったのだ。
「悪いけど私、急いでるの」
笑顔で返すまでは人間ができていないけれど、普通にそう返した私に一番驚いているのは梨央のようだ。
狐につままれたかのような、なんとも言えない顔をしている。
「じゃ」
今のうちだと言わんばかりに、その場をそそくさと去ろうとすると。
「平嶋課長とデートでしょ?」
梨央がにっこり笑ってそう聞いてきた。
「……私の予定をいちいち報告する義務はないでしょ」
詮索されたくもないし、関わって欲しくもない。
視線も合わさず人波を見つめている私に、「確かにそうなんだけど」と梨央は移動して私の視界に入ってきた。
「私、平嶋課長と同じ車両に乗ってたのよ」
思いがけない梨央の言葉に、私はとうとう梨央を真正面に捉えてしまった。