ただいま冷徹上司を調・教・中!
「あのな……」

凱莉さんは、まるで新入社員に……いや、子どもに諭すようにゆっくりと言葉を選ぶ。

「言いたいことはたくさんある。それを一言に集約すると、隙が多すぎるってことだ」

はい。

さすがに今回は自分でもわかってます。

「吉澤だとわかっていて玄関を開けたのか?」

「そんなわけありません。わかってたら一ミリも開けないどころか、居留守使ってます」

力を込めてそう言ったのだが、それは凱莉さんをさらに呆れさせる答えだったようだ。

「だったら何か?お前は誰かも確認せずに開けたということか?吉澤だったからまだマシだったものの、万が一何かあった場合、俺は今、千尋の遺体と遭遇してたわけだな」

……さすがにそれは話が飛躍しすぎていませんか?

そう言いたかったけれど、さらに問い詰められそうだったので、余計な事は言わずに一言だけ呟いた。

「ごめんなさい」

しゅんと落ち込んだ私の頭を、凱莉さんは温かい手でゆっくりと撫でてくれた。

「俺だっていつもそう都合よく千尋の前に現れるわけじゃないんだからな。少しは警戒することも覚えてくれないと、気が気じゃない」

「わかりました……」

なんだかんだと最後は優しい凱莉さんは、やっぱり私の心を包んでくれる。

もう、大好きだって言っちゃいたいくらいだ。

……まだ言う勇気さえないんだけど。
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