ただいま冷徹上司を調・教・中!
こんなはずじゃなかった。

凱莉さんに仮の恋人を提案した時は、本当に打算だけで。

こんなに凱莉さんを好きになるなんて、あの時は思いもしなかった。

苦手だった上司から抱きしめられて、こんなに胸がときめくなんて。

考えられなかった。

今はこんなにも……。

想いが溢れる……。

「梨央に言ったその言葉は……本心からですか?」

首を起こして顔を上げると、凱莉さんはキョトンとした顔をしていた。

「本当にそう思って言ってくれた言葉なんですか?」

「当たり前だろ?」

当たり前じゃない関係で膨らんだ、当たり前じゃないこの想い。

ずっと一人で抱え込むには重すぎる。

凱莉さんが私のことをどう思っているかはわからないけど、本当に特別だと思ってくれているのなら。

私の気持ちを少しは解放してあげてもいいんじゃないだろうか。

私は凱莉さんの首に両手を巻き付けると、思いきり抱きついた。

自分からこんな事をするなんて初めてだけど。

今は少しでも私の気持ちの欠片を伝えたかったんだ。

「すっごく嬉しい……」

耳元でそう囁くと、凱莉さんの首筋に、掠めるようなキスをした……。
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