ただいま冷徹上司を調・教・中!
凱莉さんは覚悟を決めたのか、渋々ながらバスルームへと消えていった。

私は寝室に戻ると、タンスから『凱莉さんのおうちセット』を取り出した。

ずっとお泊り計画のため欲しかった、凱莉さんのルームウエアと下着。

この前のデートの時に嫌がる凱莉さんをさて置いて無理やり購入したものだ。

「着替え、置いておきますね」

シャワーを浴びている凱莉さんに向かって声を掛ける。

「ああ。悪いな」

答えが返ってきて、私は少し満足した。

一先ず『お家でお風呂大作戦』は成功を収めたようだ。

「さてと」

次は『凱莉さんにお酒を飲ませちゃおう作戦』を実行に移さなければならない。

軽いおつまみでも作っておかなければ、お酒も進まないだろう。

とはいえさっきのパスタでお腹は膨れている。

結果として、トマトとモッツァレラチーズのサラダと生ハムミニバゲットを用意した。

これでもう逃げられまい。

私はほくそ笑んで凱莉さんがお風呂から出てくるのを待った。

そのうちドライヤーの音が聞こえ、凱莉さんが部屋に戻ってきた。

私は素早く冷蔵庫からビールを取り出して、あえて手渡しはせずにおつまみを並べたテーブルの上に置いた。

「私もシャワー浴びてきます。軽いもの作ったんで、ビール飲みながら待っててください」

凱莉さんの返事も聞かずに私は急いでバスルームに向かった。

ビールを手渡ししなかったのも、風呂上りにビール以外の飲み物を出さなかったのも、全ては乾いた喉をビールで潤してもらうため。

さあ、飲め飲め、飲むんだ凱莉。

今日こそは逃がさないんだから。
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