ただいま冷徹上司を調・教・中!
「ちゃんと髪乾かしてないじゃないか。風邪ひくぞ」

するりと私の髪を撫でて、凱莉さんは心配そうに私にそう言った。

「凱莉さん。私、凱莉さんに大切な話があります」

その手を膝の上でぎゅっと握り、私は真剣に凱莉さんを見つめた。

「どうしたんだ、改まって」

私の真剣さが伝わったのか、凱莉さんも真剣に私を見つめ返す。

私の言葉を真正面から受け止めようとしてくれるところが大好きだ。

「私達の……今後についてです」

私がそういうと、凱莉さんはハッとしたように目を見開いて黙った。

唐突すぎただろうか。

きっと凱莉さんは私が何を言い出すのかはわからないだろう。

「私達の今の関係って、一体なんなんでしょう?」

話を周りから攻めて核心をつく、という手もあったかもしれない。

けれど私は、そんなに上手く言葉を選べない。

どのみち最後に核心をつくのなら、最初であろうが最後であろうが何も変わりはしない。

「最初は私の見栄で無理矢理お願いした恋人ごっこでした。打算的なことしか頭になくて、凱莉の恋愛下手を逆手に取って、脅しのように始めてしまいました」

あの頃の私は凱莉さんにとって、相当嫌な女だったに違いない。

自分の弱点をネタに、強引に関係を迫る女。

今までのどの女よりも最悪だっただろう。

「凱莉さんには……いえ、平嶋課長には本当に申し訳ないことをしたと思っています」

「千尋。俺はちゃんと伝えたはずだぞ?自分の意思で選んだことだと」

「違いますよ。平嶋課長は選ばされたんです。選ばすを得なかった」

「それは違う」

凱莉は優しく私を諭そうとしてくれたけれど、私は大きく首を振って凱莉さんの言葉を遮った。
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