ただいま冷徹上司を調・教・中!
そうか、と呟くように安堵するけれど、きっと完全に納得するまで凱莉さんとの朝は迎えられないだろう。

「次に、腕枕に関してですが……」

もはやプレゼンのような口調になりつつあるが、これは仕方のないことだろう。

きっとこの方が仕事脳に切り替わり、凱莉さんも聞きやすいだろう。

仕事脳になれば計算も理解も早い。

プライベートの凱莉さんばかり見ていると、たまに忘れそうになるのだが。

凱莉さんはハイスペックなイケメン上司なんだ。

今にもメモを取り始めそうな表情で私の言葉を待っている凱莉さんは、本当に可愛らしい私だけの凱莉さんだけど。

「腕枕って、確かにロマンティックですよね。私もしてもらうと嬉しいです」

あの恋人だけの甘さ漂う温もりは、とても幸せを感じて嬉しくなる。

「やっぱりか……」

凱莉さんは項垂れるように力を堕としてしまった。

こうやって一喜一憂してくれるのも、私の言葉にだけなんだと思うと堪らない。

こんなところも、どんどん好きになってしまう。

「嬉しいんだけど、腕枕されたままでは絶対に寝ません」

寝ません、というよりも眠れない、という方が正確だったかもしれないが。

「腕枕は好きなのに、腕枕では寝ないというのは理解できないんだが。理由があるなら教えてくれ」

「理由は簡単です。寝心地がよくない上に首が痛くなるからです」

なんと色気のない回答だろうかと気になったが、それが私の本心なのだから仕方がない。

素直になんでも話してしまわないと、無理を克服した凱莉さんが頑張ってくれちゃうかもしれない。

そうなると何かと面倒くさいことになりそうだ。
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