ただいま冷徹上司を調・教・中!
ベッドの掛布団を捲った私に、凱莉さんは「ちょっと待てって」と私の腕を掴んで動きを止めた。

「自慢じゃないが、どんなに千尋を抱いても抱き足りないんだから、俺が疲れて寝ることはないぞ」

「はっ?」

あまりにも堂々とそんなことを言ってのけるものだから、私は開いた口が塞がらなくなってしまった。

「なっ!何言ってんですかっ。そういう意味でここに来たんじゃありませんっ」

不自然なくらいにムキになってしまったのは、一瞬、凱莉さんが疲れるまで抱かれ続けてもいいかもしれない、と思ってしまったからかもしれない。

そんな夜もアリっちゃアリなんだけど。

「何もしませんからベッドに入ってください」

「それは千尋のセリフじゃないな」

「もういいからっ」

私が率先してベッドに入ると、凱莉さんも続く。

リモコンで部屋の電気を消し、代わりにスタンド型のルームライトで室内を淡く照らした。

「そもそも人間は人と眠るのが好きな生き物のはずなんです」

「そんなわけないだろ」

「そんなわけあります。人は産まれてからずっと母親に抱かれて眠ってたんですから。抱かれて眠って、添い寝で眠って。そうやって大きくなったわけだから、基本的には人と一緒に眠ると安心するようにできてるんです」

私が自信満々にそう言うと、凱莉さんは半信半疑ながらも「そう言われるとそんな気もしてくるが……」と眉を寄せた。

うんうん、素直ないい子だ。

なんの根拠もなく、それらしい言葉を連ねただけだというのに……。
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