ただいま冷徹上司を調・教・中!
「ただ一つ、どうしても消化できない感情があるんだが」

さっきまでの安心した表情とは一変し、凱莉さんは表情を曇らせた。

「なんですか?何でも言ってください」

凱莉さんのことは全て受け入れることができる。

どんな凱莉さんでも、私の気持ちは絶対に揺るがない。

だからどんな些細なことでも口に出してほしいのだ。

「今さらこんなことを言ったところでどうすることもできないし、自分がどうしてこんなことを思ってしまうのかもわからない。これも初めての感情だからな。でも……」

言葉を切った凱莉さんは、ここから先をどう表現するが考えてくれているように思えた。

「でも?」

そっと凱莉さんの頬に手を当てて聞き返すと、凱莉さんはその手をきゅっと握った。

「この心地よさや温もり。千尋を愛でることもそうだが。俺が初めて経験したこと全て、千尋は他の誰かと経験したことなんだな、と思ったら……なんだか、みぞおちのあたりがムカムカするんだ」

「そ……」

それは何というか……。

ヤキモチ……嫉妬というやつではないのか?

凱莉さんが、あの冷徹だけどイケメンで仕事もできて信頼も厚くてみんなの憧れの凱莉さんが。

私に対して嫉妬なんてしてくれちゃってるんですかっ。

今までの中で一番、身悶えするほど嬉しくて感動した瞬間かもしれない。

「本気で人を好きになったら、その人の過去まで気にしてしまうなんて。俺はものすごく不出来な男かもしれない」

「そんなところも大好きです」

私は深い溜め息をついた凱莉さんに向かって、そう言って微笑んだ。

こうやって大事なことを一生懸命に伝えてくれる。

そんな凱莉さんが愛しすぎる。
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