ただいま冷徹上司を調・教・中!
どうしてこんな魅力的な男性を開発できる人がいなかったんだろう。

イケメンだからって、全てが完璧なわけじゃない。

イケメンだからって、女の理想を全兼ね備えているわけじゃない。

イケメンだってなんだって、自分と同じ人間なんだもの。

欠点くらいあるに決まってる。

凱莉さんはその欠点が少し特殊だっただけ。

ちゃんと話して寄り添えば、こんなに魅力的な男性に早変わりするというのに。

まあ、歴代の彼女達が凱莉さんと寄り添うことよりも、自分の型に無理やりはめ込もうとしてくれたおかげで、私のところにまで回ってきたわけで。

そのことに関しては『ありがとう』と伝えたいくらいだ。

「凱莉さん。私も今まで心が震えるほどの恋愛なんて、自分にはできないって思ってたんです。男性にはいいように利用されて裏切られて開き直られて。私にはこんな恋愛しかできないんだって諦めてました」

本気にならない方がいい。

そこそこの人をそこそこ好きになればそれでいい。

そう思っていたのに、私は凱莉さんを好きになってしまった。

「今凱莉さんとここでこうしているなんて、私にとっては奇跡みたいなものなんです。これから凱莉さんと経験する全てのことが、私にとっても大好きな人とする、初めてのことなんですよ?」

凱莉さんの胸の中に顔を埋めると、凱莉さんは私の頭を優しく撫でる。

「そうだな。過去なんて振り返る必要もないんだ。俺と千尋はこれから、今までとは比べ物にならないほどの経験をしていけるんだからな」

「はい……」

私達は笑い合いながら、抱き合いながら会話を続け、そしていつの間にか眠りに落ちていった。

もちろん朝まで抱き合って……なんてことはなく、最終的には個々で眠っていたわけだが。

朝起きて笑い合いながら、これでいいんだよね、と笑い合ったのだった。
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