ただいま冷徹上司を調・教・中!
そこからのことは、もう断片的にしか覚えてはいない。

凱莉さんと交わるときはいつもそうなのだ。

普段は優しい凱莉さんだけれど、私を抱くときは少しの余裕も与えてはくれない。

何度も何度も愛の言葉を囁きながら絶頂へと連れていき、私の意識を飛ばしてしまう。

今だってほら。

いつの間にか繋がっている部分からは、私の女が止めどなく溢れ出て凱莉さんを奥へ奥へと誘っているかのようだ。

「千尋……ちゃんと奥まで俺の愛が届いてるか?」

キスの合間にそう聞かれ、私は揺らされながらコクコクと頷いた。

「届いて……満ちて……弾けそうっ」

そう叫んで凱莉さんにしがみついた私は、本当に快感が弾けてそのまま完全に意識を失った……。

脳内に散らばった星がキラキラと輝き、そのうちに心地よい温もりに包まれながらフワフワと漂う。

そんな心地いい夢から目覚めたのは、太陽がちょうど真上に昇った翌日昼間のことだった。

いつの間にか、凱莉さんは私をベッドに運んで寝かせてくれていた。

「また途中で眠っちゃったんだ……」

いつものこととはいえ、少し申し訳なく思いながら、私は怠い身体を起こして綺麗な下着を身に着け服を着た。

寝室から出て、凱莉さんのいるであろうリビングに向かう。

そっと扉から覗くと、凱莉さんはコーヒーを飲みながら、昨夜広げたままだった式場のパンフレットを真剣な表情でチェックしているようだ。

「平嶋課長だ……」

私の声に、驚いたように凱莉さんは顔を上げてこちらを向いた。
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