ただいま冷徹上司を調・教・中!
そこには小さな教会や結婚式場、貸し切り可能なレストランなど。

自分たちが好きにカスタマイズできる結婚式がリストアップされていた。

「なにも形に拘る必要性はなかったんだよな。俺達は俺達らしく、一から自分達で作り上げればいいんだ」

凱莉さんはそう言って私の肩を抱きながら微笑んだ。

「でも……形も大事になってくるんじゃないですか?招待客の皆様の目もあるし」

私は置いといて、凱莉さんは医療商社の役職者であるわけだし、招待客の中には当然大病院のお偉いさんたちだっていらっしゃるはずだ。

なのに私の意志を尊重しすぎてしまうと、凱莉さんの立場的にも宜しくない気がする。

確かに自分たちのための結婚式を満足いくものにしたいとは思うけれど、何よりも私は凱莉さんのいい妻になりたいのだ。

来賓者の方々にも満足していただけるような、今後の凱莉さんの仕事の幅が広がるような。

そんな式にしたいというのも私の気持ちにはあるのだ。

「俺の言い方が悪かったな。俺は千尋がよければ何でもいいというわけではないぞ。俺が言いたいのは、俺達の式だから俺達が満足いくものにしようと言っているだけだ」

「凱莉さん……」

「千尋は俺の仕事を気にしてくれているみたいだが、式の大小や内容で左右されるような仕事は日頃からしていない」

確かに凱莉さんの仕事ぶりを見ていれば、どれだけ真摯に向き合っているのかはわかる。

「俺の仕事のことまで考えてくれてありがとう。内助の功とはこのことだな」

私のオデコにこつんと自分のオデコをくっつけて、凱莉さんは優しく頭を撫でてくれた。

「俺たちしかできない俺たちだけの結婚式だ。最高だろ?」

凱莉さんの言葉に、私は「はいっ」と素直に微笑み返した。
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