ただいま冷徹上司を調・教・中!
なにをどう考えてもこの問題を打破する案が浮かばない。

それもそのはず、私の思考回路は緊急停止してしまっているからだ。

「私と瑠衣ちゃんも千尋ちゃんに連絡するかどうか悩んだんだけど、敢えてしなかったの。ごめんね」

「少しでも早くこの情報は知りたかったです……」

ガックリと肩を落とす私に向かって、瑠衣ちゃんも「すみませんでした」と肩をすぼめた。

「でもこの噂を千尋さんが知ったら、慌てて鎮静化を図ろうとして逆効果になっちゃうか、最悪会社休んじゃうかと思ったんですもん」

「…………」

……大いにありうる。

「なんにしても」

紗月さんが口を開くと何か、解決の糸口があるのではないかと期待してしまう。

完全に他人依存型弱虫だ。

「この状況で好奇の目を向けられるのは千尋ちゃんだけじゃない。平嶋課長も同じよ」

「千尋さんの場合、向けられるのは好奇の視線だけじゃなくて、敵意の視線の方が多いと思いますけどね」

半笑いでそう言った瑠衣ちゃんを肘で小突きながら、紗月さんは私を優しく見つめた。

「千尋ちゃんは平嶋課長と同じ態度を取ればいいと思うわ。平嶋課長のことだから、きっと最善の姿勢でいるはずだから」

紗月さんにそう言われて私はハッとした。

どんな噂が立とうとも、相手はあの平嶋課長なのだ。

いいように騒がれて面白がられることはないだろう。

私は平嶋課長の対応を信じて任せておけばいいんだ。

そう考えると一気に気持ちが軽くなり、時間の余裕もなくなってきた私は、両サイドの二人に守られるように会社へと急いだ。
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