ただいま冷徹上司を調・教・中!
でもまあ、デマであろうがなかろうが、全てを知っているのは私と平嶋課長の二人だけなのだ。

真実を知る人が誰もいないのならば、この女子社員の嫉妬や妬みが織り交ざったこの視線も、余裕の笑みで受け流してしまってもいいんじゃないだろうか。

事の収拾を平嶋課長に任せようと思ったとたん心が軽くなった私は、なんだかとっても気が楽になってきた。

そうなると高揚感から上がる口角を抑えられない。

なんとか瑠衣ちゃんと言葉を交わすことで誤魔化したけれど、気楽になればこの視線もちょっとだけ心地よく感じるものだ。

どうせ平嶋課長が口を開けば誤解が解けて全ては元通りになる。

今だけ優越感に浸ってもバチは当たらないんじゃないだろうか。

それにまるっきり全てが嘘というわけでもない。

仕事から離れた平嶋課長のオフの顔を覗いたという面では、きっと私が初めての女ということになるだろう。

……もちろん、私たち社員の噂にならぬところで、平嶋課長が女子社員に手を出していなければ……だけれど。

まあ、平嶋課長のことだから、一度でも社員に手を出せばとんでもなく面倒くさいことになるとわかっているだろう。

だからこそ冷徹課長を貫いているのだろうから。

自席について同僚に挨拶をすると、みんな意味ありげな視線で私を見ながら挨拶を返してきた。

そっと課長の席を見ると、出勤はしているらしいが姿は見えない。

どうやら誤解が解けるのは朝礼明けになりそうだ。
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