ただいま冷徹上司を調・教・中!
並んでいるテーブルの一つに頬杖をついて私を待っていた梨央は、ぶすっとしている私を見るなりニヤリと笑った。

「愛想笑いの一つもしてくれないのね」

「必要ないでしょ」

突き放す言い方で返すと、私は梨央の斜め前の椅子に腰かけた。

「こっちに来ればいいのに」

自分の目の前の席を指差して梨央はそういうけれど、私はふいっと顔を背けた。

梨央の顔なんて真正面から見たくもない。

今さら和宏を取られたなんてどうでもいいことになったけれど、せっかくの同期で一番仲が良かった梨央が、私を裏切るようなことをしたことが許せない。

もう昔のように彼女と笑って話すなんて、微塵もイメージできないのだ。

「どこに座ったって聞こえれば話はできるでしょ。とっとと要件済ませてくれる?帰りたいの」

溜め息を交えて腕を組みながらそう言う私を見つめ、今度は梨央にが溜め息をついた。

なんで梨央が溜め息なんてつかなきゃならないのか。

そんな姿に腹が立つし、同じ空気を吸うのも身の毛がよだつのだから、息すらしないで欲しいくらいだ。

「聞きたいことと言いたいことがあるの」

「私にはないけどね」

「そんな言いかたしないでよ。千尋らしくもない」

梨央に対する私らしさを失わせたのは梨央自身のくせに。

どの面下げて言ってるんだろうか。
< 59 / 246 >

この作品をシェア

pagetop