ただいま冷徹上司を調・教・中!
「顔さえよければ何したって許されると思ってるの!?ふざけんじゃないわよ!このクズ!」
凄まじい怒涛の後に響いたのは、パァァンという頬を打つ音だった。
私は目の前で繰り広げられている男女の修羅場を目撃し、信じられない面持ちで見つめていた。
ここは某ショッピングモールのレストルーム前。
一番端のレストルームとはいっても、喫煙所もベビールームもあるこの一角は、決して人が少ないわけではない。
にも関わらずこんな行動に出た女性は目を見張るほどの美人だ。
私では決して履きこなせない高いピンヒールに、ボディーラインが美しく見える細めのワンピース。
長い髪はツヤツヤと輝いている。
男女どちらが見ても美人だと認めざるを得ない女性が睨み付けているのは、これまた素晴らしい色男だ。
長身で足が長く恐ろしい程に整った顔立ち。
こんなイケメン見たことがない……はずなのだが。
けれどどこかで見た顔……。
「3ヶ月も私に連絡ひとつよこす時間はないくせに、のんびり買い物する時間はあるのね。私がどれだけ剴莉の連絡を待ってたかなんて微塵も考えたことないんでしょう?」
剴莉……なんとなく聞いたことのある名前を耳にして、私は失礼と思いつつも男性の顔をマジマジと見つめた。
「そんなに私が面倒くさいなら別れてやるわよ、バカッ!」
捨て台詞を吐いて去っていく女性に言い訳することも止めることもせず、唖然としてその場に立ち尽くすバカな男はまぎれもない……。
「平嶋……課長……」
平嶋剴莉、私のイケメン上司、その人だった……。