ただいま冷徹上司を調・教・中!
「教科書……ですか……」
確かにいろんな本を読んで勉強することは大切なことだ。
自分自身を高めるためにも、相手の心理を読み取るためにも。
けれど、大の男が……しかもパーフェクトイケメンが少女マンガを教科書にするなんて。
「なんで……?」
ついつい心の声がポロリともれてしまった。
平嶋課長は眉を寄せて腕を組んで項垂れた。
なんと絵になる姿だろうか。
とても少女マンガを教科書だと暴露したばかりの男には見えない。
「久瀬も知っての通り、俺は恋愛が駄目なんだ……」
「それは……女がダメとか……そっち方面の相談ですか?」
「そんなこと一言も言ってないだろう。俺は純粋に女が好きだ」
「だったら安心しました。続けてください」
突然のカミングアウトだったら、間違いなく受け止めてあげられていなかっただろう。
こんなイケメンが子孫繁栄できないなんて、勿体なさすぎるから。
「俺は欠陥品なんだ。好きな人はできるんだが、どうしようもないくらい好きだという感情はよくわからない」
それは本気で好きになれる相手に恵まれなかったということなのだろうか。
「自慢じゃないが告白してくる女は数しれない。いろんな女と付き合ってはきたが、俺は一度も適当に選んだ覚えはない」
見た目と違って真面目なのは、最近の平嶋課長を見ていれば私にだってわかる。
「けれど絶対にフラれるんだ。もう俺とは一緒にいられない、とか、一緒にいるのが辛いとか。恥ずかしい話、この前みたいなことも少なくはない」
バカクズ呼ばわりされてビンタでサヨナラなんて、相当酷いフラれかただろうに、少なくはないなんて恐ろしい。