ただいま冷徹上司を調・教・中!

「昔から失敗する度に少しづつ、教科書という名の本が増えていった」

フラれるたびに少女マンガを買って勉強してきた、というわけか。

「だけど……少女マンガの主人公みたいな女の子なんて、実際のところはいませんよ。人間なんて男も女も嘘と裏があるものなんだから。純粋な恋愛なんて、幼稚園で終わってます」

そう、女は打算と妥協で相手を選び、男は嘘と裏切りで女を捨てる。

そんな恋愛がゴロゴロしているのだ。

「そうなんだよな。どんなに本を読み漁っても、自分に何一つ当てはまらないし、相手の反応も個々で違うし上手くいかない」

そりゃ、感情があるんだから当たり前だろうに。

こんなマンガみたいな恋が溢れていたならば、私だってもっと幸せな恋愛をしていたはずだ。

「いつの間にか俺は、上手くいかなくなる度に読み返して、本と現実の違いに悪態つくようになった……。今ではストレス発散の道具だ……」

なんという残念な男だろう。

こんなに頭脳、体格、容姿、全てに恵まれているというのに……。

恋愛不適合者だったとは。

残念なイケメン。

それ以外に当てはまる言葉など思いつきもしない。

「平嶋課長……」

「何も言わないでくれ。自分でもやり方が間違ってるとはわかってるんだ。しかし、どうすることもできない……」

私から顔を逸らして深く溜め息をついて目を閉じる平嶋課長の顔は、やはりどんなに残念であろうと間違いなくイイ男だ。

私だけしか知らない平嶋課長の秘密。

そして平嶋課長だけが知っている私の失態。

それを思い返したとき、私の中でとても眩く輝いた案が生まれた。

私と平嶋課長の2人にとって、このうえない素晴らしい案を生み出した私は、思わずニヤリと笑を漏らした。

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