ただいま冷徹上司を調・教・中!
この女心無関心者をどうしてくれようか。

こうしてくれ、ああしてくれ、と言うだけでは、きっと平嶋課長は変わらない。

細かく噛み砕いて教える必要がある。

私はまるで教育者にでもなった気持ちで平嶋課長と向き合った。

「いいですか?女は恋人からの連絡をいつでも待っているものなんです」

「それは以前も聞いたが、連絡する要件がどうしても思いつかなかったんだ」

思いつかなかったということは、一応は連絡しようと考えたわけか。

しかし結果的に連絡しなければなんの意味もない。

要は結果が全てなのだから。

「用事なんて必要ないんです。自分のことを思い出して連絡してくれたということが大切なんです」

「用事もなく連絡したとして、その先はどうするんだよ」

本当にこの人は……。

仕事では先を見越して行動できるのに、どうしてそれを恋愛に生かせないんだろうか。

「ただ声が聞きたい。同じ時間を共有したい。その気持ちだけで自然と会話はできます。用事はないけど連絡してしまった、ってだけでいいんですよ」

「そんなものか……?」

どうも腑に落ちてないようで、平嶋課長は眉間に皺を寄せながら何かを考えているようだ。

「声が聞けた。声が聞きたいと思ってくれた。それが嬉しいんですよ、女は。業務連絡じゃないんですから、深く考えずにそれだけ覚えといてください」

「理解できない……」

溜め息をつく平嶋課長に、私は一言大事なことを助言した。

「平嶋課長が女心を理解できるはずがありません」

「それは俺の頭が硬いのか?」

「いえ。基本的に女は自分勝手だからです」

そうだ。

私自身が私の気持ちを理解できないのに、平嶋課長に理解できるはずなんてないんだから、考えるだけ無駄なんだ。
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